2026/03/12
こんにちは。姫路はま矯正歯科 院長の濱です。
2026年に入り、少しブログの更新が遅くなってしまいました。楽しみにしてくださっている方には申し訳ありません。今年はまた定期的にブログを更新していきたいと思っていますので、ぜひ引き続きご覧いただければ嬉しく思います。
これまでのブログでは、矯正治療の種類や装置の特徴、治療方法などについて解説してきました。矯正治療を検討されている方にとって、どのような治療方法があるのか、どのような装置を使うのかということを理解することはとても大切です。
しかし一方で、矯正治療にはメリットだけでなく、起こりうるリスクや副反応についても理解しておくことが重要です。矯正治療は歯を動かす治療ですので、どうしても口腔内の組織に影響が出る可能性があります。
そこで今回から数回に分けて、**「矯正治療に伴うリスク」**について解説していきたいと思います。
第1回目のテーマは
**「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」**です。
目次
歯肉退縮とは、文字通り歯ぐきが下がってしまう状態のことをいいます。
本来、歯ぐきは歯の根元を覆うように存在していますが、歯肉退縮が起こると歯ぐきの位置が徐々に下がり、歯の根の部分が露出してくることがあります。
歯肉退縮が起こると、次のような症状が見られることがあります。
・歯が以前より長く見える
・歯と歯の間に隙間ができる(ブラックトライアングル)
・冷たいものがしみる知覚過敏
・見た目が気になる
特に前歯に歯肉退縮が起こると、見た目の変化を感じやすいため、患者さんにとって気になるポイントになることもあります。

矯正治療では、歯並びを整えるために歯を少しずつ動かしていきます。
歯は歯ぐきと骨に支えられているため、歯が動くことで周囲の歯肉や骨の形も変化していきます。その過程で、歯ぐきが下がって見えることがあります。
特に歯並びのガタガタ(叢生)が強い部分では、歯を並べる過程で歯の位置が大きく変化することがあるため、歯肉退縮が起こりやすくなります。
歯肉退縮は口腔内のどの部位でも起こる可能性がありますが、特に多いのが以下の部位です。
・下の前歯(下顎前歯)
・上の前歯(上顎前歯)
これらの部位は骨が比較的薄いことが多く、歯肉退縮が起こりやすいといわれています。
また、歯が外側に傾いているような歯並びの場合、矯正治療によって歯が正しい位置に移動する際に歯ぐきの形態が変化することもあります。
矯正治療中に歯肉退縮が起こりやすい方には、いくつかの特徴があります。
年齢を重ねると、歯を支えている骨(歯槽骨)の高さが徐々に低くなることがあります。
その結果、歯ぐきも下がりやすくなるため、成人矯正では歯肉退縮が起こる可能性がやや高くなるといわれています。
もちろん成人矯正ができないわけではありませんが、歯周組織の状態をしっかり確認しながら治療を進めることが大切です。
歯周病がある場合も歯肉退縮が起こりやすくなります。
歯周病によって歯ぐきや骨に炎症がある状態で矯正治療を行うと、歯肉退縮のリスクが高まる可能性があります。
そのため矯正治療の前には
・歯周病の検査
・歯石の除去
・歯肉炎のコントロール
などを行うことが重要になります。
意外と多い原因が歯磨きの力が強すぎることです。
特に次のような場合は注意が必要です。
・硬い歯ブラシを使用している
・力を入れてゴシゴシ磨いている
・研磨剤の強い歯磨き粉を使用している
このような状態が続くと、歯ぐきに過度な刺激が加わり、歯肉退縮につながることがあります。
矯正治療中は装置が付いているため磨きにくくなり、つい力を入れて磨いてしまう方も多いのですが、優しく丁寧に磨くことがとても大切です。
歯肉退縮を完全に防ぐことは難しい場合もありますが、リスクを減らすことは可能です。
そのために重要なのが次のポイントです。
矯正治療を始める前に歯周組織の状態を確認し、歯肉炎や歯周炎がある場合はしっかりとコントロールします。
歯ぐきの状態が健康な状態で矯正治療を開始することがとても重要です。
歯磨きは
・柔らかめの歯ブラシを使用する
・力を入れすぎない
・小刻みに優しく磨く
という方法がおすすめです。
歯科医院でブラッシング指導を受けることで、より適切なケアを行うことができます。

もし歯肉退縮が起こってしまった場合、いくつかの対応方法があります。
歯と歯の接触部分を調整することで、歯と歯の隙間を目立ちにくくする方法があります。
点で接触している部分を面に近づけることで、ブラックトライアングルを改善できる場合があります。
もう一つの方法として**歯肉移植(歯周外科)**があります。
これは口腔内の別の部分の歯肉を移植して、下がった歯ぐきを回復させる治療です。
ただし、このような処置は多くの場合自由診療になるため、別途費用がかかることがあります。
残念ながら、矯正治療を行う以上、歯肉退縮のリスクを完全にゼロにすることは難しいといわれています。
ある研究では、15歳以上で矯正治療を受けた患者さんの多くに、何らかの歯肉退縮が見られたという報告もあります。
そのため、歯肉退縮をできるだけ避けたい場合には、比較的若い時期に矯正治療を行う方が有利になることもあります。
ただし矯正治療にはそれぞれ適切な治療のタイミングがありますので、年齢だけで判断するのではなく、歯並びや成長の状態を考慮して治療時期を決めることが重要です。

今回は、矯正治療に伴うリスクの一つである歯肉退縮について解説しました。
矯正治療では歯並びを整えることで多くのメリットがありますが、一方で歯肉退縮などのリスクがあることも理解しておくことが大切です。
しかし、事前の検査や適切なケア、正しいブラッシングを行うことでリスクを減らすことは可能です。
当院では矯正治療を始める前に歯周組織の状態をしっかり確認し、できるだけ安全に治療を進められるように診断と説明を行っています。
矯正治療を検討されている方は、こうしたリスクについても理解した上で治療を進めていくことが大切です。
次回のブログでは、矯正治療に伴う別のリスクについて解説していきたいと思います。
ぜひ次回もご覧ください。
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